永遠少年症候群

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終焉は確かにそこに

 やっぱりと声に出したつもりが、掠れた。彼が小さく首を傾げるので、口の中に溜まる液体を吐き出し、もう一度声に出した。

「やっぱり、リョータは優しい」

 その言葉を聞いて遼太郎はわずかに目を瞠り、そして薄く笑った。遊女のように妖艶な笑みだ。
 しかし、僕だけが知っている。それは、嘲笑。

「そうだね、僕は優しい。でも、本当に?」

 その言葉と共に僕に深く刺さっていた刀が更に深くなった。柄の先に掌を押し当て、平均よりは軽いであろう体重をのせて深く。
 僕達が生まれる約三十年も前に廃刀令が出ているのだからこの刀は大方父親の物だろう。
 僕がそう考えている間にも刀は深く深く刺さっていく。

「……ぐ、ぁ……」

 肺が潰されて声にならない声で呻くと、遼太郎は小さく笑いながら耳元でささやいた。

「これでも僕は優しい?」

 遼太郎はこんなに力があっただろうか。僕が凭れ掛っている柱に刀が刺さる音がした。めり、めり、と塗装のはげた大黒柱が悲鳴をあげる。
 気が狂いそうな痛みが、麻痺し始めていた。

「はは、舞子サンも哀しむだろうねぇ……」

 無理して笑うなよ、君には似合わない。そうさ、十分に優しい。だって君は、泣きそうじゃないか。
 座っている状態なのにどうしてそうなるのか、血が口に溜まって喋れない。血を吐きだすことすら、できそうにない。

「…………」

 辛そうな遼太郎を見たくなくて、僕は目を閉じた。
 静かに、自分の死を感じる。

「ジュン?淳之介?」

 あぁ、と思った。

「───……」

 リョータ、と呼んだはずの声は出なかった。

 ──やっぱり、君は優しい。