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永遠少年症候群

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ファンタジー、恋愛要素、ハッピーエンド多め。たまに暴力やグロテスクな表現があります。
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秘密のさよなら

 兄弟のようで、赤の他人。友達のようで、友達とは言わない。好きな人。それも正しいけど、私達は幼馴染み。
 好き、なんだと思う。中学くらいから女の子と話してたら嫉妬してたし。彼女も作ってほしくなかった。
 だけど高校の友達に手を繋いだりキスしたりしたいなら、ちゃんと付き合わなきゃ、って言われて私は困惑した。別にキスとかしたくないし。
 彼はまだまだ子供だったから、セクシーな女の人に興味を示しはしてもお前と遊んでた方が楽しい、なんて言ってて。私が童顔で子供っぽいから「女」を感じなかったんだと思う。複雑だけど。
 お互い別の大学に入って恋人ができて、当て付けみたいに紹介したりもした。彼は普通に喜んでたけど。私は、当時の恋人と彼とを並べて見て、やっぱり彼が好きだと思いは募るばかりだったのに。
 私はすぐ破局したけど、彼はその時の彼女と、もう6年も付き合ってる。なのに──…。

「何で一人暮らしの女の家で寝るかなぁ」

 週末、彼女と会うくせに。浮気だと思われても知らないから。
 今でもやっぱり、キスはしたいとは思わない。口、半開きだし。

「…寝てない…」
「うわっ、びっくりしたぁー…。もう帰ってよ、誤解されたらどうすんの。それにあんたは公務員だからいいだろうけど明日も私仕事なのよ」
「いや、実はお前にお願いあって」

 寝転んで、目を閉じたまま彼は言う。

「お願い?素面で面と向かって言ってよ」
「恥ずかしいんだよ。あのさ…指輪、一緒に選んでくれね?」
「……指輪?」
「…こ、婚約指輪」

 婚約指輪?
 …婚約?
 さぁっと耳の傍で血の気が引く音がした。それから、きゅうっと胸の奥が締め付けられるように痛む。彼が振り向くことはたぶん一生ないってわかってたのに、おめでたいことなのに、素直に喜べない自分に腹がたつ。
 泣くまいと顔が歪んで、とっさに彼の閉じた目を手で覆っていた。

「何すんだよ」
「こっちが恥ずかしいよ。ちょっと顔見ないで」
「…泣いてる?」
「だ、だって、幼馴染みが婚約指輪選ぶの頼ってくれるんだよ!感動じゃん!」

 気持ちとは裏腹に嘘はすらすら口から出ていく。涙ぐんでしまったけど、流しはしなかった。
 あぁ、もう遠い。彼女はとてもいい子で、紹介されてすぐ親しげに話しかけてくれた。彼と会わないでとも言わなかったし、デートに誘ってくれたりした。…行きづらかったけど。彼女なら結婚しても家族ぐるみで仲良くしてくれそうとか意味のわからないことを考えて、彼の唇に目を落とす。
 彼女にプロポーズする唇、彼女だけにキスする唇。やっぱりキスしたいとは思わない。けど。
 おそるおそる、顔を近付ける。一回だけ。ちょっとだけ。そしたら、この想い捨てるから。
 不意に彼の唇がニッと弧を描いた。少しひるむ。

「あいつ、お前みたいに喜んでくれるかな」
「うん、絶対喜ぶよ」

 キスを一つ。彼の目の上に。ずっと好きだよ。私の大切な幼馴染み。

「選ぶのはいいけど、最終的にはあんたが決めなさいよ。重要なのは、あんたがあの子のために選ぶことなんだから」
「わかった」

 私はやっと潤んだ目をごしごし拭って彼の目隠しを解いた。眩しそうに目を細める彼に、私の笑顔はうまく映っているだろうか。

「お前が幼馴染みでよかったよ」
「当たり前でしょ」

 唇に落とさず君が飲み込まなかったこの想いは、きっと捨てることはない。捨てれるわけないの、忘れてた。だからね、封印する。手一つ隔てたキスの感触も、そのほろ苦さも。いつか風化して、そんなことあったんだって笑えるまで。

「あーあ、私も恋がしたいなぁ」

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