永遠少年症候群

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ファンタジー、恋愛要素、ハッピーエンド多め。
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    家族

     ナンパ修行開始から1ヵ月が経った。今日もあと一人でノルマ達成というところで、休憩を言い渡され一度魔王城に戻ったところだ。

    「ディスさん、今日もナンパ?」
    「はい」

     ダッシュさんは魔の地に残ることになった当初は話を信じてくれず大変だったけど、今は随分と馴染んで、ムードメーカーのような役割を担ってくれている。そして、元々騎士というだけあって佇まいがかっこいいので、ところどころ真似させてもらっている。

    「今日はあと一人」
    「好みの子がいればいいですけどね」
    「僕が女の子の好みじゃないだろうからね」
    「またまた。謙遜を」
    「魔王様、街へ戻りますぞ」

     ガーディーに声をかけられ、ダッシュさんと顔を見合わせる。小声で頑張って、と声援を送ってくれたので、戦地に赴くような気持ちで真面目に頷いた。
     街につくとさっそく後ろ姿が好みの女性を見かけて、少し追いかけて声をかける。

    「……君、一人? よかったら僕と……」
    「……何してるの?」

     虫けらを見るような目をしたカレンだった。

    「…………ガーディー! 撤収!」
    「ちょっと! 待ちなさい!」

     カレンが腕を掴んだ瞬間、ガーディーの転移魔法が発動した。魔王城の庭に着地した瞬間、カレンの業火の魔法が炸裂し、僕の前でかき消えた。

    「ツヅラ! この人捕まえて!」
    「合点!」

     ツヅラがカレンを素早く縛り上げる。
     さて、どうしたものか。殺しかけていたダリオさんには会わせられないよな……と思ってたら来るんだよなダリオさんが。駆けつけたダリオさんを見て思わずうなだれる。

    「ディスさん、すごい音がしましたが……、その方は」
    「カレン、とりあえずダリオさんには謝れ」
    「誰?」
    「聖剣を守っていた神父様だよ」
    「……! 助けたっていうの?」

     カレンは信じられないという顔をした。ダリオさんは何も言わない。その瞬間、この庭には鳥すらはばたかず、一瞬の完全な静寂があった。

    「……カレン、君は僕の何を見てきたんだよ。人が倒れてたら助けるに決まってるだろ」
    「怒りにまかせて人を殺したじゃない」
    「君を侮辱したからだろ!」
    「私のせいにしないでよ! ディスはいっつもそう! 君のため君のためって理想を押し付けてきて、殺人の理由まで私のせいにするわけ!?」

     思わず言葉に詰まった。僕はいつの間にかカレンのせいにしてたのだろうか。自分自身のせいでしかないのに。

    「……わかった。悪い。僕の罪は君には関係ない。けど、君の罪はきちんと謝るべきだ。ダリオさんがカレンに同じ思いをさせると言っても、僕は止めない。服が焦げてるから着替えてくるよ」

     部屋に一度戻ってベッドに倒れ込む。
     考えてみれば、僕は罪滅ぼしを何もしていない。あの男にも家族がいたはずなのに。
     着替えながら考えていると、ノックして返事も待たずにドアが開いた。母が澪標を引きつれてきた。

    「ディス、お庭にいるのはカレンちゃんじゃないの?」
    「そうだよ」
    「何か揉めているの? 母さん、会いに行ってもいいかしら?」
    「やめた方がいいよ。カレンは、僕が魔王って知ってから何度も殺そうとしてくるんだ。母さんのことも襲うかもしれない」
    「わらわが付き添いましょう」
    「澪標、黙っていられるの?」
    「えぇ、もちろん」
    「母さん、カレンは今精神的に不安定で本当に危険だから、気を付けてね」

     とはいえ、さすがにただの人間の母さんを襲うことはないだろう。
     そう思っていた僕が甘かったのだ。
     着替えたついでに雑用を済ませて部屋を出た時、爆発音が響いた。慌てて庭に出ると、地面を焦がした熱がじんわりと見開いた目を乾かし、次いで肉の焼け焦げた臭いが鼻に届いた。目の前には大きな青い壁があって、それを伝ってぐるりと回ってみると、壁だと思ったのは青い大きな龍だった。これが、澪標の本来の姿なのだと思い至り、駆け寄る。澪標は母とダリオさんの前に横たわり、一部が抉れ、広範囲に大火傷を負っていた。爆心地は、カレンがいた場所。そこには、黒焦げた塊があるだけだった。
     ダリオさんが必死に回復魔法をかけ続ける横で僕も龍の口に回復薬を含ませる。駆けつけたガーディーも事態を察して何も言わずに回復魔法を使った。回復魔法が使える魔物をありったけ集めて、ようやく澪標の傷がふさがった。しかし、澪標は眠り続けていた。

    「母さん、ダリオさん、何があったの?」
    「……あの家の場所を教えたの、カレンちゃんだったみたい。私が責めると思ったのか、ひどく動揺して、私を責めた。なんでディスを産んだのか。なんで人間のように育てたのか……。あまりにひどくて、ダリオさんと澪標さんが諌めたら……、激昂して……ごめんなさい。母さんのわがままで、澪標さんが……」
    「カレンからしたら、罪悪感を感じる相手が一気に二人も目の前に立って動揺したのかもね。それでもなんで自爆に巻き込もうっていう考えになるのか理解できないけどさ」
    「母さん! 大丈夫か!」
    「あなた……」

     少し離れた場所で開墾作業をしていた父とおじいちゃんが駆けつけると、母は泣き崩れた。こんな母は初めて見た。キニアさん達が両親を支えてくれたので二人とダリオさんに任せることにした。
     澪標の泉へと魔物たちと力を合わせて運ぶ。気付くと、ガーディーの姿はなかった。ツヅラが、ガーディーが自分の家に引きこもっていることを報告してくれたのでガーディーの家に行ってみると、本棚の本が散乱している中で何かを探すようにパラパラと本をめくっていた。

    「ガーディー、どうしたの? ガーディーが一番魔力あるんだから、澪標に回復魔法を」
    「いえ、回復魔法では傷痕が残る」

     ガーディーがやっと顔をあげた。その頬はこけ、目が落ち窪んでいた。隈もひどく、寝ていないことがよくわかる。

    「爆発の前まで時間を戻します。そんな魔法があるはず」
    「聞いたことないよ」
    「ある!」

     珍しく大声を上げたガーディーが小さくすみませんと言って、また本をめくる作業に戻る。

    「わしが離れたせいです」
    「……僕も離れた」
    「カレンにあの魔法を教えたのはわしです」
    「……やめてよ。わかった。気が済むまで探せばいいよ。だけど澪標が目を覚ますときにそばにいなくていいの?」
    「……あいつがそばにいてほしいのは、魔王様ですから」

     ガーディーの説得を諦めて、澪標の泉へと戻る。青く光る龍のうろこは痛々しく欠け、剥がれ落ちていた。急速に再生を促されたお腹の抉れていた部分がボコボコといびつに盛り上がっている。うろこは皮膚ではないので、回復魔法では再生しないらしい。また生えてくるのだろうか。というかうろこって生えるものなのだろうか。
     ダリオさんとキニアさん、ダッシュさんが交代で様子を見に来てくれて、眠り続ける澪標が泉に落ちてしまわないか見てくれることになった。僕は彼らに任せ、一旦魔王城に戻った。爆風で壊れた魔王城の修復をしてくれていたツヅラが駆け寄ってくる。

    「魔王様、こちらはいかがしますか」
    「あー……。埋葬した方がいいのかなぁ? そこの噴水にでも沈めといたら?」
    「死して水責めとは、魔王様もなかなかの鬼畜……」
    「えー? 焼け死んだわけだから冷たい方がいいかと思って……」

     ブレーンが二人ともいない魔王城でツヅラと二人でうんうん唸っていると、バタバタとガーディーが走ってきた。あ、ブレーンがぶっ壊れてるわ。

    「あった! ありました! 魔法ではなかったのですが、月の砂という時間を巻き戻すアイテムがありました!」
    「それ、僕に負ける勇者が使うやつでしょ?」
    「幸い勇者はまだひよっ子。先にいただきましょう」
    「おぉ、着実に勇者の邪魔してるね、僕達。魔王の勢力っぽい」
    「魔王様、装備はわしの家に封印するよう言われていたものがありますから。これをどうぞ」
    「え? 何かと戦うの?」

     鬼気迫るガーディーに気おされて言われるがまま鎧を身に着ける。魔王になってから初めてだ。っていうかこれ、賢者の塔に封印されていた勇者のための装備だよね? 大丈夫なのこれ? 僕、弱体化しない?

    「月の砂は、常に月から降り注いでいます。しかし、時間を巻き戻すアイテムとして使えるのは世界樹のてっぺんにあるほんの一握り。世界樹のてっぺんに巣を作る火の鳥の熱に何年も晒され結晶化したものだけなのです」
    「火の鳥って不死鳥じゃないか!」
    「左様。生き返るので思いっきり真っ二つに斬って時間を稼いでください。わしがその間にかき集めます」
    「そりゃまたすごいガバガバな作戦だねぇ……。砂はどれくらいいるの?」
    「一粒で1分戻ります。10粒で大体1グラムなので、大体1キログラムあればカレンの爆発前に戻れるでしょう」
    「……それ、1キロ集める間に火の鳥生き返ると思うよ」
    「では行きます」
    「ちょっ、待っ、うわあああああっ」

     有無を言わさず転移させられて、突然巣を荒らされて火の鳥が襲い掛かってくる(僕が大声を上げていたせいで驚かせたのもあると思う)。ガーディーの言う通り、巣の底にはキラキラとした砂がある。
     火の鳥の攻撃はほとんど魔法なので目の前で掻き消えていくが、それでも熱風は感じる。その上かなり体が鈍っていて思うように動かない。

    「魔王様、まだですか!」
    「らしくないよ、ガーディー!」

     一歩踏み込んで下から斜め上に向かって剣を振り切る。断末魔を上げる間もなく、ひとまず火の鳥の動きはとまった。しかしガーディー所望の真っ二つではないため、瞬く間に再生していく。
     火の鳥は恐ろしく頭もいいらしく、魔法攻撃が効かない僕に対し鎌のような鋭い嘴、そして僕の腕ほどもある鉤爪で攻撃を仕掛けてくるようになった。大きくのけぞり、きつつきのように突こうとするのを何とか避け、再びのけぞった瞬間に斬りかかる。首を落としても、体はそのまま走ってきてギョッとした。
     ガーディーが月の砂を大きな袋でざっとすくう。キラキラとした砂をありったけ袋に詰めると、ずっしりと重そうな音がした。案の定ガーディーは持ち上げることもできないようだった。どれだけ詰めたんだろうか。

    「戻りますぞ」

     火の鳥が再生し終わる間際、僕達は魔王城に帰ることができた。
     ガーディーがさっそく澪標を魔王城に連れてきて、黒焦げのカレンを配置する。そして月の砂を1キロ分ほど振り掛けると、二人は時間をさかのぼっていった。そして、澪標が龍の姿になる直前まで時間が巻き戻った。凄まじいアイテムだ。こんなものを使われてはたまらない。火の鳥の巣をどこかに引っ越してもらわないといけないな。というか今までの経験上、あの鳥喋れるだろ。普通にわけを話して月の砂を分けてもらえばよかったんじゃないか?

    「それ以上お母様を侮辱するな!」

     1週間ぶりに澪標の声を聴いて我に返った。この後、カレンが自爆する。ガーディーが眠らせる魔法の詠唱を始めている。

    「うるさい! もう、私、戻れない! ディスにも、汚いって言われた……。私……、私、……どうやってディスに謝ればいいのよ……」
    「だからといって周りを傷付けるのは間違ってるでしょう」
    「うるさいうるさいうるさい! なんで私ばっかりこんな風になるの! もう、みんなみんな、死んじゃえばいいのよ!」

     カレンが詠唱する直前、ガーディーが眠らせる魔法をかけることに成功した。

    「ガーディー、女同士の戦いの邪魔をするなんて無粋で」
    「無事でよかった」

     ガーディーが人目を憚らず澪標を抱きしめるので澪標がパニックになっている。

    「魔王様、お助けください!」
    「本当に無事でよかったよ。黒焦げのオブジェも要らないしさ」
    「?」

     さて、問題はカレンか。
     やっぱり、どんなにひどくても死んでほしいとは思わないんだよな。僕甘いのかな。だけど、何度も命を狙われるのは嫌だな。

    「澪標、君、記憶の操作できたよね」
    「えぇ、少しなら」
    「カレンから僕の記憶を消すことってできる?」
    「いえ、そこまで限定的には……、それに、操作できるのは1度きりなので、この小娘にはもうできません。……いい加減こやつを引きはがしてはもらえませんか?」
    「いや、もう別れてからこれまでの分抱きしめさせてやって」
    「別れ……っ、なぜ魔王様が知っているのです! ガーディー、そこに直りなさい!」
    「やだ」
    「は、な、れ、な、さ、い!」
    「や、だ!」

     澪標とガーディーが騒ぐので、騒ぎを聞きつけた人達が集まってくる。母が駆け寄ってこようとしたが、父が止めていた。
     ダリオさんも涙を拭っている。

    「キニアさん、カレンを運んだら着替えさせてほしいのですが頼んでいいですか?」
    「えぇ」

     カレンを抱きかかえて僕の部屋のベッドに寝かせる。キニアさんに着替えさせてもらって、寝ている間に猿轡を噛ませることにした。
     案の定、カレンは起きた時パニックを起こした。僕が離れて丸腰で座っているのに、逃げ出そうともがく。

    「……カレンと、最初にした冒険、楽しかった。最初はスライムに勝つのがやっとでさ、森のボスだと思った澪標には実はいいようにあしらわれてて……」
    「……?」
    「僕、本当に君が好きだったよ。最後に会った時、君にプロポーズしようとしてたんだ。だけど、現実が理想と違って、カッとなって、君のお客さんを殺しちゃって……。あの人のことわかるなら、償いたいんだけど、あの人の出身とか知ってる?」

     カレンが首を振る。

    「……そっか。あのさ、僕達が憧れた勇者の話、嘘だったんだよ。魔王の目的とか……ガーディーに聞いてくれる? それで、できれば、もう……冒険のこととかそういうの忘れて、どこかで幸せになってよ」

     カレンの目にみるみるうちに涙が溜まって、ぼろりとこぼれた。
     お互い、もう三十歳だ。老けたなぁ。

    「これ以上、僕の周りの人を傷付けないでくれ。僕も、君を殺したくはない……誰にも死んでほしくないんだよ。それじゃ、僕の話は終わり。今はゆっくり休んでて」

     小さい頃は、いや、大人になっても、カレンとの関係がこんな風になるなんて思いもしなかった。
     自分の部屋を出たところで、ガーディーにでくわした。

    「ガーディー、もういいの? うわ、顔赤いよ」
    「本気の張り手をくらいました」
    「……そっか。あのさ、カレンに神話の話とかしてよ。今猿轡噛ませて拘束してるから安全だと思う」
    「承知しました」

     赤い手形がついたままふらふらと僕の部屋に入っていくガーディーを見送って、余計なお節介を焼いてやろうと澪標の泉へと向かった。ガーディーがしていたように母が抱き着いていて、ダリオさんも深々と頭を下げているので澪標はますます混乱していた。

    「澪標、ちょっと話せる?」
    「はい?」
    「お説教だよ」
    「え?」

     澪標の泉に足を浸して、この一週間の出来事を説明した。カレンが自爆の魔法を使って澪標が重傷を負ったこと、時間を巻き戻すアイテムで自爆の魔法の前まで時間を巻き戻したこと。

    「時間を……巻き戻した……?」
    「そう。自分をもっと大事にしてよ。澪標、本当に死ぬところだったんだよ」
    「そうなのですか。以後……気を付けます」
    「みんな心配したんだ。中でも、ガーディーは特に心配していてね。時間を巻き戻すっていうのも、回復魔法だと傷痕が残るからってガーディーが一週間かけてほとんど飲まず食わず、不眠不休で探して……」

     あ、今、そんな人に仕事させてる……。先にガーディーを休ませるべきだったのに。

    「……ガーディーが……」
    「余計なお世話だと思うけどさ、だから僕達は引きはがせなかったんだよ」
    「……」
    「さて、そろそろカレンへの説明も終わってるし戻るね」

     本当に余計なお世話だな。僕は自分の恋人を探さなきゃいけないのに、人の背中ばかり押している。
     魔王城に帰ると、ツヅラがガーディーを担いで出てきた。

    「魔王様、ガーディーを家に帰らせます。小娘への説明は済んだと言っていました」
    「ありがとう。ついでに母さんも連れて行ってガーディーが起きたらご飯を食べさせるように言っといて」
    「合点」

     部屋に戻ると、カレンが寝ていた。
     近付いてみると泣きはらしたように目元が赤くなっていた。長いまつ毛の先に涙が玉になってついている。その涙を拭うと、寝惚けているカレンはすりすりと僕の手に頬を寄せた。

    「……はぁ」

     ずっとカレンが好きだったのだから、僕の好みのタイプはカレンなのだ。結局、だからあの時も声をかけてしまったわけで。
     何度も殺そうとかかってきてるし、他の男の人と寝てるし、ヒステリックだし、冷静に考えればナイ。
     僕はこの時、冷静に考えられなかったらしい。

     カレンはダリオさんや両親に謝り倒して帰っていった。カレンが再び転移魔法で魔王城に来たのは、それから4ヶ月ほどのことだった。

    「何しにきたのだ小娘! 今生の別れだからこそ笑顔で見送ることができたのだぞ」
    「……ディスに話があるのよ」
    「魔王様が言ったどこかよそで幸せになってくれというのは、顔を見せるなということで」
    「妊娠してんのよ!」

     全員が僕を見た。心当たりはあるけど……。

    「……い、一回だけ、だよ? 本当に僕の子?」
    「魔王様、さすがに今の発言は最低です。わらわもフォローしかねます」

     澪標が突如カレンの味方になった。キニアさんも何も言わなかったが、視線の温度がだいぶ下がったのが見て取れる。
     すごい、みんな僕の敵だ。

    「だ、だって、君、知らない男に抱かれるのが仕事だろ!」
    「いつの話よ! もうしてないわよそんなこと!」
    「……してないの?」
    「するわけないじゃない」
    「でもしたよね?」
    「魔王様、自らの行動の責任は取りましょうか」

     ガーディーがにっこりと笑う。ガーディーは世継ぎがいればいいんだろ、という言葉が出かかったけれど、確かに自分のしたことに責任は持たなくてはならない。
     僕はなし崩し的に家族を手に入れてしまった。