永遠少年症候群

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ファンタジー、恋愛要素、ハッピーエンド多め。
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  • LUCKY GIRL
  • ファンタジー設定で∞のお題
  • 教えられない教師の話
  • Secondary creation
  • 掌編
  • イメージソング
  • 大正哀歌
  • 世界観・人物紹介
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    ブクログのパブー……電子書籍形式。詩の投稿はこちらのみ。
    小説家になろう……ガラケー、スマホ対応。pdf形式の縦書き対応。

    ココにあるもの

     卒業式は、入学式と同じようにホールに並んで行われた。危険な魔法の使用や魔力の低下で入学式の5分の4程度にまで人数は減ってしまったけれど。

    「……みなさん。7年間、よく学び、よく成長しましたね」

     姿の変わらない校長先生が、少しだけ口元を綻ばせて言う。
     校長先生が一人一人の顔をじーっと眺めながら滔々と話している。
     あぁ、確かに声が上ずってるなぁ。だって校長先生は、ほとんど接触なんかなかったけれど、ずーっと私達を見守ってくれてたんだものね。

    「魔法使いは毎年1000人ほど生まれますが、エヴァンジェリン魔法学校を卒業できるのは毎年40名にも満たない……。あなた達は、魔法使いの中の、魔法使いです。そうあってください」

     校長先生が話し終えると、卒業式は簡単に終わった。
     クライヴは、来なかった。日本から、お父さんが会いにきてくれた。

    「ココ……、無事卒業したようだな」
    「はい。お話しした通り、私こっちで……」
    「あぁ、伝えに来たのはそれじゃない。親父が死んだ。俺は間藤家を継ぐ気はない。今日からお前が当主だから、よろしくな」
    「ちょっと、お父さん。待って……、わ、私、侯爵夫人に……っ」
    「何を言ってる。あっちの親御さんとは話がついてるから、彼には婿養子になってもらう」
    「か……、勝手すぎるわ!」
    「……」

     ぐしゃっと、初めて、お父さんから頭を撫でられた。
     頭を撫でる。感情を手に入れて初めて知った、愛情表現の形。

    「お前が怒っているのを見るのは、初めてだな……。親父のせいで……いや、親父を止めなかった俺のせいで、すまないことをした」
    「……、でも」
    「クライヴから連絡があった。まだ生きてるらしいから、早く捕まえてくれ」
    「……はい」

     間藤家の、当主か。

    「日本に帰らなくてもいいの?」
    「どっちでもいい」
    「どっちでもいいって……」
    「どこでもドアできるんだろ? すぐに帰ってこれるなら、いいじゃないか」
    「うっ……」

     どこでもドアが通じるわ……! 嬉しい……。

    「どうした」
    「いえ……、研究の先進地にはいたいから、こっちに住みますが……たまには、帰ります」
    「そうしろ」

     別れ際、お父さんはもう一度私の頭を撫でた。

    「俺的にはクライヴもいい年だから、あいつにやったつもりなんだが、まぁ……なんだ。よかったな」
    「娘をモノみたいに言わないでください」

     煮ても焼いてもいいってほんとにそういう意味だったの?
     我が父ながら、本当に理解できない。
     娘を失うのが怖くない、か。まぁ、じゃなきゃ吸血鬼と付き合うのなんて普通反対するわよね。

    「……それじゃあな」
    「お、お母さんは、元気ですか」
    「あぁ……。まぁ、元気な方だ」

     希。のぞみさん。絶望して絶望して、絶望する母。あの人を恐れないのは、確かに恐れが欠落した父だけなのだろう。
     普通だと思ってたけど、今は母が怖い。でも家族だから。

    「……ココも元気ですって、伝えてください」
    「わかった。じゃあな」

     父が去ると、ヴォルターがやってきた。

    「卒業おめでとう、ココ」
    「あなたも」
    「さっき親父から聞いたんだけど、オレ、婿養子だって?」
    「……そうらしいわね」
    「結婚することになって、いいのかい?」
    「私は、侯爵夫人になるつもりだったけど……。どっちでも一緒よ。あなたがいればいいんだから」
    「……人間社会に入るなら、働かなきゃなぁ」

     悩んでるわ。ボンボンだものね。
     いざとなったら研究の助手として雇ってあげよう……。
     マーリー、アンブラ、チェルソ、マティアスにそれぞれ挨拶して、最後にエミィを捕まえた。

    「エミィ、卒業おめでとう!」
    「ありがとう。ココもおめでとう」
    「エミィも旅なのね……。いつでも寄ってね」
    「えぇ。そうするわ。ヴォルターと仲良くね」

     ぎゅーっとエミィに抱きつくと、エミィもハグしてくれた。7年間、時々けんかもしたけど、いっつもこうだった。
     私の初めての友達だ。

    「……ドロテアが見つかっても、サクラーティが見つかっても……。ずっと友達よ。約束よ」
    「えぇ。ありがとう」

     感情を、手に入れた。魔法、友達、恋人。全部手に入れた気がする。
     最高の学校生活だった。これは、まぎれもない事実なのだ。

    2015/04/14公開