永遠少年症候群

永遠少年症候群

PPS-2016/蒼陽亭

データベース

2017年の誕生日までには頑張るよ……!

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時系列

作品リーガルスノーシスカ備考
20歳シスカが騎士団に入る
22歳シスカ部隊長
リズ18歳
痣(前半)、檻、蛇蝎15?歳24歳ラファエル三番隊副隊長
グレゴリオ副長官
ゾランジ副長官補佐
ルネ幹部候補
25歳クリスティーナ18歳
騎士団入団
レベッカ Episode/114歳
痣(後半)、疵19歳17歳28歳ルネ19歳
スノーとリーガルが組む
膿と熱リーガルとスノーが組んで半年
この頃レイドが紅霞に入る
痕跡(前半)→伝承の島→闇と辻斬り→痕跡(後半)21歳19歳
酒場の片隅で。レイドくん20歳。
誕生日はリーガルの方が早いのかも
賭→歌声の響きし森ヘルミナとは既に知り合いっぽい
Bonds
→宿無しひとり
22歳20歳(この冬で21歳)レイド22歳
メリンダが生きてる
リーガルとスノーが組んで四年半
砂の暁/関連拍手
神と祈りと天使の影レイド23歳
島の彼方24歳22歳伝承の島から3年後

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君に落とされる・続

 恋がしたい。

「またそれ?」
「そう、またこれ」

 グラスを回すと、まあるい氷がからんと音を立てた。
 恋人という存在がいなくなってもう2年になる。クリスマスやバレンタインなどという世間的には恋人たちの日、みたいな日も喧騒から逃れるように仕事を入れて、耳をふさいですごしていたら、恋というものがどんなものだったか――その始め方も気持ちも――わからなくなってしまった。それで口癖のようになってしまったのが、この“恋がしたい”だ。せめて、好きな人がほしい。
 今日はいつものところがいっぱいだったので、二番目によく来る店にきた。暗めの照明の中で静かにジャズが流れるいいお店。バーだから、日本酒や梅酒の品揃えが少ないところが、二番目である理由だ。
 また手の中のグラスを回すと、心地のいい音がした。ブラックルシアンが喉の奥をとろりと流れていく。

「言うばかりじゃ、恋って始まらないんだよ」
「……引っ張り落とされてみたい。狭い穴とかで、お互いしか見えないような恋愛、いいと思わない?」
「共依存? やだ」
「道具みたいな扱いよりマシじゃない」
「まーだ引きずってるんだ? 前の奴」
「一応私も、結婚を意識してたりしてなかったり……だったわけよ」

 盲目的だった恋が終わって、我に返ってみるとひどいモラルハラスメント男だった。私の意志はそこにはなくて、同僚もよく別れるように忠告してきてて――……愚かな私は、親友でもある同僚の方を切ろうとしてた。結局向こうの浮気が発覚して、あっさり捨てられたんだけど。相手の親にも挨拶はしていたし、浮気が発覚しなければ今頃あの男と夫婦生活を送っていたかもしれないと思うとゾッとする。

「未練はないけどね。すっごいトラウマ。今でも髪の毛掴まれて怒鳴られる夢見る。ほんと最悪」

 まぁ、その夢の中ではもう顔も思い出せなくて顔が黒く塗りつぶされていて、本当にただの悪夢なのだけど。

「あー、もう、忘れよ? 酒がまずくなる」

 同僚はソルティドッグを頼んで席を立った。2人でくるとこのトイレ待ちがつらい。かといって、3人だといない間に何か楽しい話を聞き逃すんじゃないかとなかなかトイレに行けない。さびしがりなのだ、私は。
 私も何か頼もうかな。ほのかに甘くて、炭酸がないものがいいなぁ。ブラックルシアンは好きだけど、いかんせん肝臓が追い付かない。
 グラスを冷やすための氷を入れただけのグラスを眺めつつ、つきだしのピスタチオをぼりぼりむさぼっていると、するりと隣の席に座る気配があった。

「一人?」
「いえ、連れが」
「一緒に飲もうよ」
「いえ……」

 こういう場面がめったにないからか、とても慌ててしまう。冷静に断ればいいだけなのだろうけど。だって、この人は別に私じゃなくてもいい。
 大体私は、年下好きなのだ。利害は一致してないでしょう。
 ああ、恋がしたいという割に選り好みする私の傲慢さよ。同僚が言うばかりじゃ、って言ってたのはここらへんだろう。わかってる。でも――……。

「嫌がってるじゃないですか」

 どこかで聞いたことのある耳障りのいい声に、一瞬声をかけてきた人が黙り込んだ。私が助けを求めるように見上げると、どこかで見たことのある人だった。
 もちろん、本来の連れである同僚じゃない。
 誰だっけ? スーツを着ている。もしや取引先じゃないだろうな。

「すみません、困ってたみたいだから」

 お礼も言えずにその人を凝視していると、彼は助けてくれたのに申し訳なさそうに笑った。

「あ! わかった。いつもの店員さんだぁ。ありがとうございます!」

 急にひらめいて、よく行くお店の店員さんに思わず握手を求める。大きな手を両手で掴んでぶんぶんと振ると、彼はやっぱり困った顔で笑った。

「今日はスーツなんですね?」
「昼はサラリーマンなもので」

 私の会社はだめだから考えもしなかったけど、副業OKのところなんだ。あまりじろじろ見るのも悪いかな。
 まぁ、確かに……頼られてるみたいだけど、いつもいるわけじゃないし、アルバイトなのかなぁとは思ってた。正直、いい歳してフリーターなのかな、とか。思わず心の中で謝った。ごめんなさい。

「お礼したいので、連絡先を教えてください」

 ふと名刺の存在を思い出して、カバンから取り出して裏に携帯の番号を書き足して差し出すと、彼はなんだか複雑そうな顔をして受け取ってくれた。けれどそれは一瞬で、いつもの笑顔で名刺を取り出して、私にくれた。名刺に書かれている名前をなぞると、少しくすぐったい気分だ。
 よかった。業界は別だ。取引先だったらどうしようかと思ったけれど……、でも、名前は聞いたことある会社だ。

「可愛い名前ですね」
「なっ!」

 なんという殺し文句だろう。名刺を渡してこんなことをいう人、見たことないんですけど! ていうか、嬉しいんですけど!?
 ありがとうを言う余裕もないほどにパニックになっていると、視界の端でバーテンダーさんが準備していたグラスを持ち上げた。もう溶けかかっていたグラスの中の氷を捨てるとからんと音がする。
 あぁ、私いつも、この……この、目の前の店員さんが差し出してくれる美味しい梅酒の中で艶やかに光る氷の、からんという音が好きで。そしてグラスの下のほうを持つ細長い指も、その奥にある笑顔も――……。
 私は年下好きなのに。
 にっこりと笑う笑顔に――見慣れて、覚えるほどだった笑顔に――、私はもしかしたら、あっさり引っ張り落とされてしまったのかもしれない。

君に落とされる・続――完
 リンクするの忘れてたわけじゃないよ。恥ずかしいから気付いた人だけ気付いてくれればいいと思って。
 なんで海月亭のファンページでこれなんだって感じでしょうけどね。ファンページらしい話も一つあるから探してみてください。これよりも意図的に隠してます。
 ユキヤさんのファンには殺されるかもしれないが、君に落とされるの女の子のモデルは私なんだ! いいだろう!
 で、これは、一昨年のユキヤさんの誕生日に送りつけようとしてやめて、その次の自分の誕生日に送ったものです。
 そしたらこの続きが自分の誕生日に来たんだよ。
 今までで一番嬉しい誕生日プレゼントだった。
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十年間

 どうして書き続けるのかと問われたら、私はなんと答えるだろう。
 約束なんだ。
 そう言うかもしれない。

 だけどそれは理由の一つでしかない。
 文字が、言葉が、映像が。寝ても覚めてもチラつく、胸の奥底の燃え盛るようなものを吐き出す術を、私は文字にすること以外に知らない。
 そんなことを、同じ熱量を持たない人に言うのはなんとなく気恥ずかしいから、私は嘘の理由を外に求める。
 でもきっと、この熱量はあなたも同じなのではないか、そうならば嬉しい。

 十年というのは長いのか、短いのか、わからない。出会った頃の私では年齢の半分以上であるし、今では年齢の半分以下である。さて長いのか、短いのか。
 メールでお互いの誕生日を祝うことが、仲がいいと呼べるのかもわからない。
 だけど、確かに十年もの間交流が続いていて、それがかけがえのないものであることも確か。

 私は薄情者なので、どうしてそういう話になったのか、どうしてそこまで仲良くなったのか、いまいち覚えていないし、情報が残っていないほど古い話。
 たった一つの約束は、何年経っても誰との会話よりも心の一番深くにあるのだった。

 私は今、かつてあなたがそうしたように、ノンフィクションとフィクションを織り交ぜようと苦戦する。
 いっつも追いかけている。
 きっとついて行くだけのつもりで、「共に」に人偏を書き加えたあの日のように。

「咲月ちゃん、この人の作品はね、読むべきだよ」

 クラスメイトの咲月ちゃんは、大きな瞳をしばたかせて私が押し付ける携帯を見た。

「あー、ここ、リンクはってるとこね」
「そうそう」

 変に凝った私のサイトとは違う、シンプルなケータイサイト。そうして私は、授業用のルーズリーフに絵を描く。リーガルは、こう――目つきが悪くて、ハーフコートで、スノーは――。

「ふーん、面白いんだ」
「そう、その人はソンケーしてる」

 実は今でも、尊敬、というほど、簡単な言葉で表せられるものではない。
 その文体と描写に恋をして追い続け、憧れと同時に悔しさに苛まれる。この気持ちは、一言では表せられない。

 咲月ちゃんに紹介してほどなく、その憧れと悔しさと恋した文体は消えてしまう。
 高校の寮でなんでやねん! って言ったと思う。関西人じゃないけど。

 やっぱり咲月ちゃんに登場してもらって悪いけど、思い出を拾い集めよう。この調子で十年分は長すぎる。

 大学生になった私は、初めて自分のノートパソコンを買い与えられ、とりとめのない様々な言葉を検索した。そうして、ふと思い出したサイト名も入れてみた。
 その時の驚きと感動は、今でも覚えてるしあなたの肩を揺らして伝えたい。
 とりあえず、掲載されているものをすべて読み、それから久しぶりです! と書き込んだ。思わず息をとめていて、送信ボタンを押す指が震えた。

 思えばよく世間知らずな女子高生が書く感想に丁寧な反応をくれたものだと思う。今となってはそれらが残ってなくてよかったとも思う。
 私も移転を繰り返し、サーバーや掲示板が変わり、どのような会話をしたのかまったく覚えていない。本当に薄情者である。
 そんな私でも、覚えている書き込みがある。
 成長したなぁ。だった。
 息を止めて送信ボタンを押す指が震える中、私は自分のサイトのURLだけはしっかり入力していた。そのリンクから訪問してくれたのだろう。というかそれしかない。このつながりというのは、お互い連絡を取ろうという意思がなければぷっつりと途絶えてしまうような頼りないものだ。
 とにかく、今はなき掲示板の初めての書き込みは成長したなぁ、蒼さん。だった。それだけじゃないけど、それは、すごく嬉しかったから覚えてる。
 大学生になっていたし、何より、高校生の頃より文章力も少しは上がっていたと思う。そのときは、たぶん後者の意味で書いてくれたんだと理解した。自分は後ろ向きな性格だと思っていたがそうでもなかったようだ。

 それから、緩やかな交流は「返信不要」と書いた拍手で続く。
 お互い返信不要と書かれても返事を書くので、これは意味があるのかと思ったこともあるけれど、忙しい社会人に返信は手間だろうと返信不要を添える。……たまに興奮した感想の時は忘れてたかもしれない。
 そうして交流はお互いの私生活のことにも広がる。私の感情が揺れた時、日記に書きこむと相談に乗ってくれる。一緒に喜んでくれる。一緒に怒ってくれる。ほとんどは私にとって嬉しい言葉だったけれど、時には私にも愚痴をこぼしてくれる。実は、いつも私の悩みに付き合わせていたので愚痴をこぼしてくれた時はけっこう嬉しかった。

 恋がしたいと日記に書き込んだのは、最低な恋愛が終わった後だったと思う。まともな恋愛がしたかった。
 そうして、件の、珍しい恋愛ものが書かれていた。それは今までのダークファンタジーと呼ばれるものとは一味違うもの。
 童顔美女(※美女とは書かれてない)、これ私だ。
 私が恋した文体が、憧れと悔しさをもって心臓を掴みにきた。ぎゅっと心臓をわしづかみにされてしまうほどトキメキに免疫がなくなっており、一晩ベッドの上でジタバタしていた。好きだ! 結婚してくれ! って思った。
 結婚してくれと思ったけどプロポーズしなかったのは理性があったからだけどそれ以上に理由がある。恋心じゃないからだ(性別すら知らないっていうのもある/笑)。だって、やっぱり「悔しい」の方が強いのだ。私もそんなのを書きたい。どろどろとした何か勢いのある熱が文字の羅列となって、お腹の底から指先に流れていくようなイメージがあった。
 書き続ける。そのことが、より強固な意志となって心の中に突き刺さった。何か刀を、打ち直したようだった。より硬く、より鋭く。
 そうなった私は強いよ。
 長くてとにかく自分の思いだけを書いた感想を送って、私がモデルだなんていう嬉しいお言葉をいただき、私は勝手に続きを書いた。だから実のところ、触発されて書いたと日記で紹介した「秘密のさよなら」は触発されて書いた二本目の掌編である。まぁとにかく「君に落とされる・続」を書いて、冷静になって、これはサイトに載せないぞ! と注釈をつけて保存した。これを堂々と載せるほどは強くなかった。
 ただそれ以来、2週間以上何かを書かなかったことがない。

 誕生日を祝うメールを送ったのは、いつだっただろう。なぜメールアドレスを交換したのだろう。
 昔、閉鎖した方のサイトのブログに誕生日であったことが書かれていた。そんなことを覚えていたのは、高校生の頃好きだった人と同じ日で、忘れたくても忘れられない日だったからだ。
 結果として、苦い片想いの思い出の日を友人の誕生日として上書きできた上に私の誕生日も律儀に祝っていただけるので、始めに自分の記憶を疑いつつもメールした自分、グッジョブとしか言いようがない。
 そう、その次の私の誕生日には、お祝いのメールが届いた。
 それから毎年、お互いの誕生日だけに送るメール。あまり馴れ馴れしくてもいけないかとシンプル(なつもりの)メールを送る。
 これはサイトに載せないぞ、と思った話は、誕生日にメールで送ろうと思った。しかし、送れなかった。そのメールは今もスマホに保存している。こんなものを送りつけて怒る人じゃない。だからこそ、どう思われるか怖かった。
 それなのに。それなのに、だ。次の私の誕生日、まさか「書いたけど送らない」ということを、同じことを、してくれるなんて思ってもみなかった。
 しかも、結局送った勝手な続きにまた続きが付くなんて、誰が想像しただろう。まぁ、想像も何も私達しか知らないんだけど。

 私は今、昔々に時系列表などを作りたいと打診して快諾してもらえたことを思い出し、時系列表を作っている。データベースも作ったが、まだ中途半端だ。
 前は黒かったんだよな~ってことで、黒背景。さすがに配置は覚えてないから鏡のように配置した。
 こんなもので喜んでもらえるのだろうかと思いつつ、作業が楽しく、今年の誕生日プレゼントはこれだな、と自己満足している。

 時折、私には名言がふりかかる。
 辛いときほど笑っとけっていうのは、今でも泣きたくなったら思い出す。
 落ちた先がどこに続いているかわからないんだっていうのは、恋に臆病になったら思い出す。
 書き続けましょうという約束は、一番大事に胸にしまってある。

 十年。思い出せばきりがなくて、ずーっとずーっとあなたの文章に恋をしていて。
 これからもそうであるように。
 そして、今年も良い年を重ねられるように。
 ずっと祈っています。
 書き続けましょう、共に。

十年間――完

 私友達めちゃくちゃ少ないからほんと嬉しい。
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さいごに

 だいぶ遊ばせてもらいました。まじで時系列表作りたいっつったのいつの話だよって感じですが、ついに作りました!
 このページは、今年の私の誕生日からつくりはじめたページです。10月と2月だと私の方が準備する時間がたっぷりあるので時間をかけて作れますね。ふふふふふ、びっくりしてくれたら幸いです。
 このページのタイトルが一番悩んだ。GMT-903/海月亭。これ、ガディアス、メキア、サード通りの903番地ってことだと思うんだよねー。同じ感じで「アルファベット-数字/○○亭」ってしたいなーと思って、最初はしらさぎ亭にしようとしたんですよね。けどわからなかったので結局適当。こういうとこ凝りたいのに飽きっぽいんだよな。PPSはPeter Pan Syndromeです。
 それで、本当はデータベースとして人物や地名の紹介とかも入れようとしてたんだよね。本当のファンサイトwikiみたいに。間に合わなかったけど……。来年の誕生日までにはこつこつ作ります。
 ユキヤさんが喜んでくれたら嬉しいな。
 しばらくしたら普通にファンページとしてハッピーバースデーとか消して作り直しますね。

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