永遠少年症候群

永遠少年症候群

おばちゃんのこと。

 すごいおばちゃんに会った。
 会ったというか、お客さんというか、道案内を頼まれたおばちゃん。

 自転車で九州一周している若いお兄さんにご飯のおいしい所を聞かれ、自転車で道の駅に連れて行ってご飯を奢っていたところ(その時点で家から20キロくらい離れている)、別のおじさんに話しかけられ、おじさんがお兄さんに言った「そこに行くなら○○を食べるといいよ」というアドバイスを受け、私も食べたい!とお兄さんについて50キロくらい自転車で走破。
 目的地でご飯を食べて別れるが、お土産を眺めていたお兄さんに買って半分こしようと提案するも渡すのを忘れていたことに気付き、翌日お兄さんの目的地で待ち伏せ、お土産を渡す。この時点で家から110キロほど自転車で走破。
 お兄さんが県を越えて行く更に40キロ離れた目的地を聞いた途端、若い頃学校で遠足に行った思い出が蘇り、面白そうだからついていく!と自転車でついていく。
 そこから更に南に60キロ離れた九州の端に行くと言うお兄さんにはさすがについていくのはやめ、帰ることにする。……が、その前に、とそこから西に50キロ離れた県庁所在地まで行っている。これはお兄さんのアドバイスで、県庁所在地へ行き乗っているママチャリを売れば電車で帰れるからと言われたらしい。
 自転車で九州ど真ん中の山脈を通って帰ろうとするも、コンビニで地図を見て断念。話し相手がいないので自転車を乗り捨て(やめろ)ヒッチハイクしようとしたが最初に話しかけた人に無視され、何故相棒である自転車を捨てようなどと思ったのだろうと思い直し、絶対に家に連れて帰るからねと自転車に話しかける。二人目に道を尋ねると、社用車なのに自転車ごとのせてくれてめちゃくちゃ呆れながら途中まで乗せてくれて、あとは国道を50キロほど自転車で漕いで家に帰った。
 後日談として、それから1年半後、お兄さんが向かうと言っていた九州の端に行くことができた。それは、日本語の得意なドレッドヘアのベルギー人と一緒に行ったので、ベルギーにも行った気がしている。

 という話をされた。
 バイタリティにあふれすぎている。
 ていうか、おばちゃん電車で来たの?って聞いたら、さすがにこの距離(お土産を渡した110キロ地点)は電車って言って、一度ここまで自転車で来たことあるよっていう話からこの壮大な冒険の話を20分くらい聞いていた。
 ちなみに、帰りに乗せてくれた人は、「あんたが自転車で通ろうとしていた道がどんなもんかよく見とけ」と言ったらしいが、おばちゃんは「諦めた道のりをしっかり目に焼き付けとけよ」と受け取ったらしい。私は伝聞ですら「いかに無茶なことしようとしてたかよく見ろ」って意味だと思いましたけど。

 そして、「米屋で米を買いたいからバッグの場所をとっている玉ねぎをもらってくれ」と新玉ねぎくれました。人にあげるつもりだったのに、相手が不在だったらしい。
 代わりに別のお客さんにもらったぶどうジュースあげた。
 物々交換やね!っていう笑顔が眩しすぎた。

 ぶっ倒れそうな精神状況の中で、笑いと元気をもたらしてくれた素晴らしいおばちゃんに幸あれ……。
 誰にでも話しかけ、誰とでも仲良くなるおばちゃんに励まされ、なんかよくわからないアプリ開発グループに飛び込む決心がつきました。
 すごいよ、名前も知らないおばちゃん。